199489 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

ふらっと

ふらっと

Operatio 2

シフォン率いる『サイクロン』チームはバストライナーの推進剤に引っ張ってもらう形で今回のテストを兼ねた暗礁空域内の射撃場所を目指した。
「しかし、大きな武器ですね」
エリオス准尉その巨大な大砲に素直な感想を述べる。
「艦載型をそのまま転用した様な物だからな・・・威力と射程は絶大だ・・・と言うことになっている」
「・・・やはりモビルスーツは機動性ですね」
「そうは言わないが、運用しだいだな」
シフォンはそうとしか答えようがなかった、だからこそ、今回のテストなのだ。
3分もすると暗礁空域内の射撃場所に到着した。
「サイクロン3、巨大デブリが軌道上に接近中。今回のターゲットです。状況は?」
ミユキ伍長からの入電が入る。サイクロン3のチームコードで呼ばれたアービスが答える。
「了解、既にセンサーに捉えてる」
「もう見えてるんですか?」
エリオス准尉の驚きの声が聞こえる。
「長距離専用なんでね」
「一発で仕留めてくださいよ、中途半端に当ててデブリ増やしたりすると迷惑ですからね」
「サイクロン2こそ、システムダウンに気をつけろよ」
「サイクロン3、その点も含めてのテストだ」
実際バストライナーには多少の問題があった、以前の射撃テストの際にそばにいた作業用ポット『ボール』のシステムが一時ダウンしたことがあった。大出力の荷電粒子がMSのシステムに影響を与えるらしいのだ。今回の射撃テストにはトラブルテストも兼ねていた。
「ロックオン」
アービス准尉はトリガーを引き、巨大なビームキャノンの大出力ビームがほとばしる。
シフォンは直ぐにシステムチェックしたが、今の所目立った問題は出ていなかった。
遥か彼方に光の玉が見え、その直後目標の巨大デブリが爆発したとの、データーがサイクロン3から送られてくる。
「サイクロン2、システムグリーンです」
「サイクロン3、状況は?」
「システムはグリーンで特に問題無いですが、こいつは物凄いエネルギー食いますね・・・、もう一発打ったらアウトですねこりゃ」
アービス准尉の声がシフォンの乗るライトアーマーのコックピットに響き渡る。
「ついでに言いますけど、単独行動してる『ムサイ級』の艦影見つけちゃったんですけど、どうします・・・」
シフォンは機体レーダーを見たが、まだ確認出来なかった。
アービスのバストライナーは長距離兵器だ。レーダーや、センサー類も、広い範囲をカバーするようだ。
「識別できるんですか?」
エリオス准尉の声が響く、同じ様に
「味方の識別信号出してませんし、まず間違いないと思いますよ」
「当てられるのか?」
「サイトに微妙なずれがありますけど行けます!」
「急いで調整しろ」
シフォンが言った。
「小隊で敵艦隊を落とせば勲章もんですね」
「了解、今度も当てますよ。おっと・・・」
アービス准尉が何かに気がついたようだ。
「それと少し大きい輝点が、ひとつ。おそらくモビルアーマーですね・・・」
「敵艦を叩け、それで、終わる」
「了解、チャージにもう少し時間がかかります」
「それまではこっちで待たせる」
次の瞬間、レーダーが高速で接近する物体を捉えた。シフォンは思わず呟いた。
「やはり、モビルアーマーか・・・」
やがて、モニターにもその姿を捉えた。
シフォンはビームガンを撃ちながら前進した。相手を動かし推進剤を消耗させるためだ。作戦行動時間は宇宙では特に推進剤に左右される。
が、それよりもモニターに映し出されたMAの形に度肝を抜かれた。
黄色い『顔』が真っ直ぐ高速で向かってくるのだ。何とか初手は交わしたが、まだ、鼓動が激しい。
「なんですか、あの『びっくり、ドッキリメカ』は・・・」
メインカメラが捉えた映像をコンピューターが解析し、機種を報せてくる。
「データベースに照会・・・ジオンの新型か・・・」
だが、機体のデータベースにはその『顔メカ』MAのデーターは無かった。
機体のデーターが直ぐに『ナツカゼ』オペレーターのミユキ・ムラサメ伍長に送られる
「ありました、WB隊のデーターに」
ミユキ伍長の言葉と共に機体データーが転送されてきた。腕部はAMBACとして機能するとともに先端に格闘戦用のヒート・ナタが装備。これはヒート・ホークの技術を応用したものであることが判る。また、機体側部には4連装ミサイルランチャーを2基装備していた。
「来るぞ!」
高速で移動し、強力な加速力で勢いをつけ、大質量(重量)と相対速度を利用してすれ違いざまに巨大なヒート・ナタでサイクロン2が持つジムの盾を簡単に切断していった。
「くそっなめるな」
サイクロン2のジムは体制を崩しながらもビームライフルを続けざまにぶっ放す。
その一発が『びっくり、ドッキリメカ』の後頭部を貫き、炎の玉が膨れ上がり、爆発した。
「チャージ終了!前を開けてくれ」
サイクロン3からの無線を受信した時にはムサイの姿が肉眼でも確認できるようになっていた。
「ロックオン!狙い打つぜ」
次の瞬間、巨大なロングレンジのビームキャノンが火を噴き、戦艦の主砲のような高出力のビームが宇宙の闇を切り裂き、真っ直ぐに伸びていく。
宇宙が輝き、ムサイの轟沈を確認した。
バストライナーがスラスターを利用して方向を転換する。巨砲が大きなモーメントを生み出して、方向転換するだけでもちょっとしたコツがいるはずだ。火力優先の化け物・・・こんなものを実戦では使うことが無ければいいのだがと、シフォンはそう思った。
「少尉、周辺に敵機確認できません、それと、今の方向転換でバストライナーのエネルギー残量が、完全にゼロです・・・帰りは「押して」帰るか、『ナツカゼ』に来て貰わないと、駄目です。・・・・どうします?」


© Rakuten Group, Inc.